この世は全て仮想現実?「水槽の脳」

あなたが体験しているこの世界は、実は水層に浮かんだ脳が見ている夢なのではないか

ヒラリー・パトナム(哲学者)

「水槽の脳」とは

オカルト関連に詳しい方には、「夢」よりも「仮想現実」という言葉の方がしっくりくるかもしれません。1982年に哲学者 ヒラリー・パトナム氏によって定式化されたこの仮説は、哲学の世界における思考実験の一つ。つまり、実験を伴わず、頭の中の想像だけで行われる実験です。「水槽の脳」の他に「水槽の中の脳」「培養槽に浮かぶ脳」「桶の中の脳」「水槽脳仮説」とも訳されます。

思考実験の内容

  1. ある科学者が人から脳を取り出し、培養液の中に入れる。
  2. 脳の神経細胞を電極を用いてコンピュータに繋ぎ、脳波を操作する。
  3. 意識は脳の活動によって生じるので、コンピュータによって操作された脳は通常の人と同じような意識が生じるだろう。
  4. つまり、我々が現実に存在すると思っているこの世界は、睡眠時における夢のように、脳による産物(仮想現実)なのではないか。

「水槽の脳」をどう思う?

「水槽の脳」を初めて耳にしたとき、あなたはどんな感想を持つでしょうか。「なんて不思議な仮説なんだ!」とか「実に面白い」などの肯定的な感想を持つでしょうか。一方、「そんなことはあり得ない」とか「ばかばかしい」とか「私は絶対に信じない!」とか否定的な感想を持つでしょうか。まあ実際、あなたがこの仮説を信じるか否かは関係ありません。「水槽の脳」は否定できないからです。

「水槽の脳」は否定できない

試しに「水槽の脳」を否定してみましょう。私たちには五感があります。それらを使い、いつも様々な体験をしています。とてもリアルに感じます。こんなこと、仮想現実であるわけがない。

いや、ちょっと待ってください。私たちは睡眠時に夢を見ます。中には現実と区別がつかないほどリアルなものがあります。普段生活している世界もそれと同じで、脳が見ているとてもリアルな夢だとしたら。

このように言ってしまうと、「水槽の脳」は否定できないのではないでしょうか。もしこの世が仮想現実ではないことを証明できるなら、ぜひ詳しく聞いてみたいです。

参考文献

  1. 水槽の脳 ― Wikipedia

ラプトルのモデル「デイノニクス」

                   picture from Pixabay by mdherren

デイノニクスって?

デイノニクス(Deinonychus)は鋭い歯と大きなかぎ爪を持つ、全長 3.3 mほどの小型肉食恐竜です。アメリカの古生物学者ジョン・H・オストロム氏(John H. Ostrom、1928-2005)によって1969年に名付けられました。映画『ジュラシック・パーク』シリーズ、『ジュラシック・ワールド』シリーズに登場する「ラプトル」のモデルとされています。

恐竜のイメージを変えたデイノニクス

デイノニクスが発見される以前において、一般的な恐竜のイメージといえば「巨大」「鈍重」「知能があまり高くない」というものでした。これらのイメージは、人類が恐竜類というグループを科学的に認識するようになった19世紀以降、100年以上も定着していました。しかし、このようなイメージはデイノニクスの発見によって覆されます。なぜなら、デイノニクスのスマートな姿は「鈍重で知能があまり高くない」ようには見えないからです。

恐竜ルネサンスとは?

「恐竜ルネサンス」は、1970年代に始まった従来の恐竜像の見直しです。デイノニクスの発見とその研究は、他の恐竜たちの復元にも影響を与えたのです。例えば、「ティランノサウルス(ティラノサウルス、Tyrannosaurus)」は恐竜ルネサンス以降、前傾姿勢でよりアグレッシブな姿で描かれるようになりました。

一般に浸透した恐竜ルネサンス

1970年代に始まった恐竜ルネサンスですが、一般に浸透するには10年~20年の歳月がかかりました。当時はあまりインターネットが普及していなかったからです。しかし、少しずつ一般向けの書籍で扱われるようになり、大衆の目にも止まるようになりました。インターネットがすっかり普及し、情報が瞬く間に拡散される現在からすると、なんとも信じがたい話ですね。

恐竜ルネサンスの集大成『ジュラシック・パーク』

『恐竜・古生物 ビフォーアフター』(イースト・プレス)では、映画『ジュラシック・パーク』を「恐竜ルネサンスの集大成」と紹介しています。スティーブン・スピルバーグ監督により1993年に映画化されたこの作品は、一般大衆に活発に動く恐竜のイメージを広く定着させました。2018年に最新作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が公開された現在でも恐竜のイメージは衰えず、私たちを大迫力の恐竜の世界に誘ってくれます。

参考文献

  1. 土屋健(2019)『恐竜・古生物 ビフォーアフター』イースト・プレス.
  2. ジョン・オストロム ― Wikipedia
  3. ジュラシック・パーク ― Wikipedia
  4. 映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』公式サイト